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4)二地点間輸送についての問題点
我国において、1988年6月シティ・エアリング(株)によって初めて羽田〜成田間で本格的なヘリコプターによる二地点間輸送(コミューター)が開始された。
羽田、成田両空港では、搭乗前安全検査、ヘリ乗降地への移動等により搭乗までに時間が必要であり、利用者のとっては高速性に欠けるものであった。
また運航面でも、飛行方式が有視界飛行方式であった事、周辺地域住民への騒音問題のため最低飛行高度を2900ftに限定した事等により気象要因による低い就航率を招き、3年5ヶ月間の平均就航率は気象要因、整備及び需給調整欠航などを含めると74%であった。また、気象要因のみによる欠航は20%と高いものであった。
開設当初は、昼間飛行のみであったため、成田発国際線のピーク時間に対応出来なかった事、その後の夜間運航に際してもヘリコプターの空港使用制限時間が羽田空港17時、成田空港19時であったため十分な利便性を乗客に与える事ができなかった。
結果的には、1991年11月運休を余儀なくされるに至った。
ヘリコプターによる二地点間輸送においても、固定翼相当の定時性、信頼性を得るためには、ヘリコプターの特性をいかした計器飛行方式、管制方式基準の開発/導入等が必要であると共に、都心部でのヘリポート整備、ヘリコプター用専用ルート及び離着陸方式の設定が望まれる。

 

 

 

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